将棋界をリードするトップ棋士、渡辺明名人(2021年現在)が監修を務めた3手詰めの本『爽快!3手詰トレーニング200』を紹介します。
3手詰めにしてはかなり難しい部類に入る本ですが、それだけに上級者には取り組みがいのある一冊だと言えるでしょう!
玉方の応手が多く、読む量がとても多い
この本の目的は「終盤の読みの精度を上げる」ことです。
そのため、玉方の応手が2通り〜4通りあり、すべて読みきる必要がある問題が多く収録されています。
したがって求められる読みの量も、通常の3手詰めに比べて倍〜3倍くらいのボリュームとなっています。
ひとつ例題を紹介しましょう。
この問題の正解の初手は「▲3二銀成」です。対して玉方は「△同金」「△同玉」「△同馬」の3通りの応手がありますが、すべて読みきって完全正解になるという構成なのです。
これは第1問ですからまだ易しいほうで、さらに複雑で読みの必要な3手詰が200問ぎっしりと掲載されています。
将棋を始めたばかりの人が手を出すと挫折してしまいそう。上級者向けですね
何度も繰り返し解くと、終盤の精度がバツグンに上がる
一直線ではなく、変化や紛れ手順の多い問題が多数収録されているので、ちょっと歯ごたえのある詰将棋で終盤のトレーニングがしたいという方にはとても適しています。
特に後半の方には「銀成」か「銀不成」かがキーになる問題が多くあり、持ち時間の短いネット将棋の終盤戦で、どちらが正解かを瞬時に判断する訓練になりそうです。
たとえば以下のような問題です。解答は載せませんのでぜひ考えてみてください! 10秒以内に読み切れた方は、有段者以上の実力があるでしょう。
1ページ1題の構成で、解説が丁寧
1ページにつき詰将棋が1題掲載されており、ページをめくると裏に解説があるという構成になっています。
スペースをたっぷり取っているので、解説が非常に丁寧なのがこの本のいいところですね。
正解手順だけでなく、まぎれ手順についても解説してくれてます。
まとめ 〜 上級者や有段者がトレーニングするのに適した一冊 〜
3手詰ながら広い読みが求められる問題ばかりで、見た目以上にボリュームのある一冊です。
これから初段を目指す上級者の方や、終盤力をさらに向上させたい有段者の方などにおすすめですね。
しかし「爽快!」というタイトルは、あたかも短時間でぱっぱと解いていけるような印象を与えるので、ちょっとミスリードかなと思いました。
コメント