『捨て駒なし!はじめての3手詰め』レビュー。1手詰めができるようになったら次はこれ!

3手詰

1手詰をマスターした将棋初心者の方にぴったりの詰将棋本が発売されました!

元奨励会三段・甲斐日向さんによる、『捨て駒なし!はじめての3手詰』です。

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自分が将棋を覚えたてのときに読みたかった!と思えるほど、画期的で解いていて楽しい3手詰の問題集です。

1手詰めをマスターした方が、脱初心者を目指すために手に取る一冊として非常に完成されていると感じました。

初心者でも取り組みやすい難易度! サクサク解けて気持ちいい

この本の一番のポイントは「とにかく問題が易しい」というところです。

これまでの3手詰を扱った本の多くは、詰将棋としての面白さや美しさを優先するあまり、初心者が取り組むには難しすぎました。その問題点を解決したのが『捨て駒なし!はじめての3手詰め』なのです。

タイトルにもある通り、この本には「捨て駒」が一切出てきません。

「捨て駒」とは、タダで取られるところに駒を捨てることで王さまを詰ますテクニックのこと。

たとえば以下の問題の正解は「▲6一飛 △同玉 ▲6二銀」です。初手の「▲6一飛」が、あえてタダで飛車を取らせることによって、玉を詰みやすい場所に誘い込む捨て駒になっています。

代わりに掲載されているのは、相手から取られない位置に駒を打って詰ましていく「並べ詰め」と呼ばれる問題ばかり。たとえば次のようなものです。

『捨て駒なし!はじめての3手詰め』p.7より引用

これなら、初心者の方でも1分ほど考えれば解ける方が多いのではないでしょうか? 正解は「▲3一銀 △1一玉 ▲2二金」です。

このように駒をベタベタと打つ詰将棋は美しくないとされ、発表されることはあまりありませんでした。初心者にとってもわかりやすい並べ詰めの問題ばかりを集めたこの本は、今までにない画期的な一冊なのです!

1問あたり30秒〜1分もあれば解けるから、サクサク解けて気持ちいいよ

すべての問題をひと目で解けるくらいまでやり込めば、実戦での棋力も大きく向上すること間違いなしです。

実戦で詰みが見えなくて困っている中級者にもおすすめ

「詰将棋はたくさん解いているのに、実戦だと詰みを見逃してしまう」という中級者(5級〜1級くらい)の方にも、『捨て駒なし!はじめての3手詰め』はおすすめです。

詰将棋の本に出てきがちな「捨て駒」のテクニックは、実戦ではあまり出てきません。詰将棋は解けるのに実戦で詰みを見逃すのはこれが原因です。問題と実戦は大きく違うんですね。

著者の甲斐さんも、本の冒頭で「捨て駒と並べ詰めの実戦での頻出度の比率は1:9くらい」と述べています。

わたしはアマチュア二段の棋力ですが、終盤戦で駒を捨てる手ばかりが目についてしまい、簡単な並べ詰めや、駒を取って詰ます筋を見逃すことがときどきあります。

『捨て駒なし!はじめての3手詰め』を読めば、従来の詰将棋を解きすぎたことによる悪い癖を取り除くのに役立つでしょう。

意外な難問も多く、解きごたえ十分!

「並べ詰めだけなら、簡単な問題ばかりでつまらないんじゃない?」

いやいや、そんなことはありません。並べ詰めばかりの一冊とはいえ、実は難しい問題もけっこうあるのです。

たとえばこの問題。盤をめいっぱい使った作品で、考え込んでしまう人も多いかと思います。

『捨て駒なし!はじめての3手詰め』No.116より引用

このほかにも、駒が複雑に入り乱れた問題や、初手に迷ってしまう問題も多く収録されており、解きごたえは十分です。

まとめ 〜 3手詰めに挑戦するならまずこの一冊から!

世の中には3手詰の問題集があふれていますが、その中でも『捨て駒なし!はじめての3手詰め』は、最も入門レベルに適している一冊です。

これから3手詰を解けるようになりたいという方は、まずこの本を手にとってみてください。さらに詰将棋が楽しくなっていきますよ!

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